Phasemation 試聴会

雑誌他、色々な所でリファレンスカートリッジとして使用されていることの多いフェーズメーション。

カートリッジの他にもフォノイコライザーから真空管アンプまで手掛けており、アナログ再生に

こだわり続けるフェーズメーションのイベント、今回は!

オールフェーズメーションシステムでカートリッジ全機種を聴き比べする贅沢な

イベントとなりました!

今回使用した機材はコチラ↓

カートリッジ
PP-MONO
PP-200
PP-300
PP-500
PP-2000
PP-5000

フォノアンプ
EA-320
EA-550
EA-2000

コントローラー(プリアンプ)
CM-2200

パワーアンプ
MA-5000

ターンテーブル
Technics SP-10R

トーンアーム
GLANTZLAB MH-12KATANA

今回の講師はPhasemation技術部長 齋藤氏

2002年にカートリッジの生産からスタートしたフェーズメーション。

その並々ならぬアナログ再生へのこだわりを感じながら聴き比べを楽しんでいきましょう。

 

まず使用するカートリッジは各方面でも最近リファレンスとして使用されることの多い

PP-200を使用し、フォノイコライザーの聴き比べからスタートです。

 

最初は当店でも常時店頭展示の「EA-320」

コチラは半導体を1つ使用しアンバランス配線によるフォノイコライザー

フェーズメーションらしい癖のない高解像度のアナログ再生は非常に魅力的に感じます。

ここでフォノイコライザーをトランス使用でバランス配線。さらに無帰還回路の「EA-500」へ。

 

音に厚みが出て余韻の表現が繊細になる。この事により演奏している空間の広さがより

出てくるように感じるのです。これはかなり驚きの変化量!

 

ここで、「なぜバランス配線にするのか?」という話題に

そもそもカートリッジ → トーンアーム → フォノイコライザー

までのあいだで、トーンアームまではバランス回路で構成されているのに

フォノイコライザーに入力するときにもバランス接続にするのが”自然”ですよね?

という事。

 

カートリッジからフォノイコライザーも手掛けているフェーズメーションならではの

アプローチとして、この”バランス” → ”アンバランス”での長年の慣例接続に

一石を投じる事のできたメーカーとして今後歴史の教科書にも載りそうな

イノベーションを起こしたわけです!!

 

ここでトランスの優位性について。

少し前まではトランスを使用すると、ナローレンジで音が濁るとか言われていたものでしたが

実はコレ、使用している線材などによるもので本来ちゃんとした線材を使用することにより

電気回路を通らないトランスでの増幅回路は圧倒的にS/Nが良い!との事。

 

なかなかこのような奥まった話というのは通常聞くことが出来ないので、参加者の方々も

興味深く頷いていらっしゃいましたね。

さて、次にカートリッジは現行トップエンドPP-5000が発売されるまでのトップエンドカートリッジ

PP-2000へ・・・

齋藤氏は先ほどからPP-200のコストパフォーマンスの良さを強調されていましたが、やはり

比べるとPP-2000は凄い!!

音場空間の広さ、そして抜けの良さ!見通しの良さが際立つのです!!

 

・・・ここで話しは横道に逸れ(笑)

実はカートリッジの塗装(色)にもこだわりがあって。

黒い塗装はダイヤモンドライクカーボンという塗装を施すことによりスピード感が出る

というような恩恵があるらしく。

これに対してPP-200のブルーはというと、言ってしまえばコストダウンを図った結果では

あるようなのですが、コレはコレで海外でも非常に高い評価を受けるきっかけになった

などという雑談がサラッとでてくる当たり、とてもレアな体験をさせて頂いているな

と感じる事が出来るのです。

そしてついにフォノイコライザーは6筐体から成るEA-2000へ。

非常に伸びやかに、そして軽やかに、スピード感を持って高密度にメロディーが

空間に組み立てられていくような感覚・・・

音で圧倒されますが、正直皆様が気になるのは6筐体の意味(笑)

これはまずなによりもモノラル構成の圧倒的な優位性としてクロストークの排除。

回路構成でモノラル回路を製作しても、厳密にはシャーシを通じてクロストークが発生

してしまうのを止める事が出来ない。という事らしく、Phasemationがモノラルに拘るのは

なによりもクロストークを排除したい!という事なのだそう。

それを電源部やトランスに採用するのは同じ理由ですが、さらにトランスという部品は

狭いスペースに閉じ込めるよりも、広いスペースに置いた方が本領を発揮するという

事もあるらしい。

 

知ってました?

小川は知らなかった。

そしていよいよダイヤモンドカンチレバーを使用したカートリッジPP-5000へ。

圧倒的なスピード感!音の結実が早い分表現力と力強さ、音場空間の密度感も格段にあがった!

 

この表現力で鳴らす和太鼓の力強さは信じられない程気持ちの良いものだった・・・

 

開発するにあたって人工ダイヤモンドと天然ダイヤモンドの音の違い、カンチレバーと

針先を一体成型にするのか?分けるのか?

という、直接でないと聞くことのできない開発秘話も非常に興味深く聞かせて頂きました。

 

 

番外編として

モノラルレコードをステレオ/モノラルカートリッジで聴いてみる事に。

驚いたことに(?!)やはりダイヤモンドカンチレバーとはいえモノラルレコードは

モノラルカートリッジの方が空間が広く迫力が出る。

詳しくいうと、ステレオカートリッジで再生するとダイナミックレンジが狭くなるらしい?!

 

さらにDECCAカーブ、COLOMBIAカーブ、RIAAカーブそれぞれのレコードの違いを使い

それぞれ正しいカーブで再生した場合と別のカーブで再生した時の違いの比較

なども、イベントといえどなかなか体験できるものでもなく、参加されている方々にとっても

非常に貴重な時間になったのではないでしょうか?

雑談で、フェーズメーションのモノラルカートリッジ開発秘話なんかも飛び出し、

イベントが終わる気配が無い・・・(笑)

という具合にあっという間に時間は過ぎてゆくのでした。

 

 

←ちなみにコチラ

コントローラー(プリアンプ)
CM-2200

なのですが、感の良い方は「コントローラー?」

と思われた方もいらっしゃいますでしょうか?

 

そう、よく見ると電源ケーブルが無いのです。

 

この辺のお話しも深堀りしたかったのですが、本当に終わる気配が無くなってしまうのでね(汗

今回はご紹介だけにしておきます。

 

 

 

 

最近、若い方もアナログレコードを聴く方が増えましたが、

講師の齋藤氏のようにリアルタイムでアナログレコードにどっぷりと関わってきた方の

体験談というのは雑誌やネットにも載っていないような情報もポンポン出てくるので、

このようなリアルイベントの意義は想像をはるかに超えると思っております。

小川もある程度詳しくレポートを記してはいますが、コチラにも記していないような

雑談のなかで「え?!そうなの?!」というお話しの中にこそ、このような少し小規模

イベントならではの距離感での醍醐味があると思っております。

しかも参加費無料ですよ?!(笑)

 

今後とも是非皆様の御参加をお待ち致しております。

 

 

 

 

2024/6/2 AUDIO SHOP KEIKI 小川