Accuphase 店内試聴会 20180805
Accuphase 店内試聴第12回

今回の試聴会はAccuphaseで先日発売されたばかりの新商品、SACD/CDプレーヤーDP-750と、A級ステレオパワーアンプの最高峰A-75を実際に製品を作った技術統括マネージャーの猪熊氏を迎えて、音作りや改善点など普段聴けないお話も踏まえ試聴頂きました。

順調な滑り出しでスタートした試聴会もアキュフェーズファンが多い当店らしく結局3回ローテションし、お客様の興味の高さが伺え有り難い次第です。

スピーカーは今回、店頭展示のB&W803D3に加え、お客様から一時お借りしたフランコセレブリンのアッコルドを試聴。表現力の幅の広い両機再生にどのぐらい対応可能なのか興味が出てきます。

最新のDP-750はハイエンド機のDP-950/DC-950を継承した一体型プレーヤーですが、製作に当たり、前作DP-720からはフルモデルチェンジの形になります。

シリコン系高性能弾性ダンパーの採用や、一体型の総重量10.5kgのSACD/CDドライブなど再生能力を更にアップし、DISK自体の振動や風きり音を減らして従来の1/2まで低減。特にトレイ開閉の重厚感や的確なスピードは拘りの一つだそうです。音の傾向はDP-950譲りの高域はうるさくなく、中域の厚みがあるとても安心感のあるバランスの良い音色で、当店でも買い替えや新規で購入者が早速いらっしゃい、アキュフェーズも売れ行き好調のようですよ。

話の中で毎回前機種を超える物づくりの作業は並大抵の苦労のようで、S/N比を1dB減らす努力は非常に難しく、毎回限界の中で試行錯誤することにより生まれてくる数値になっています。ただその中でも数値だけではなく、歪みを減らしていく事により余分な音が減り、録音された音源がそのまま抽出されて、音場の空間表現がとても良くなる効果が出てきていると猪熊氏は話します。実際、アキュフェーズの音はここ数年で変わりつつあり、よく音が硬くて冷たい印象だったと数十年前の印象をお持ちのお客様がおりますが、現在は緻密で繊細かつ、中域の程よい厚みが出てきて昔の音作りとは違ってきているのは確かです。

質問の中でも”音決めはどのようにされているか?”と言う疑問がでましたが、実際A-75などはアキュフェーズの30代のエンジニアが中心とした若い世代が設計に携わっていて、最終的には会社全体での決断になるそうですが、現在は音色も踏まえ製作段階で好評だった意見を統合し尊重した形で製品が出来上がってきているようで、アキュフェーズの中でも音決めの基準が変わりつつあるようです。

 

アキュフェーズ技術次長の猪熊氏

以前からアキュフェーズのA級アンプにはMOS-FETというトランジスタを採用してきましたが、ここ数年まで使用されてきた東芝のMOSFETの供給が終了し、他社の優良なMOSFETを探した結果、今回A-75で採用されたのはフェアチャイルド製のMOSFETだそうで、特性の揃ったものを選別し10パラレルプッシュプル構成の電力増幅を行っております。

今回ダンピングファクターが以前の800から1000を実現し、更にスピーカー駆動において理想的なドライブを可能にしております。ダンピングファクターについては諸説ありますが、アキュフェーズではSP端子を基盤に直接設置することや、コイルを大きくするなどフィードバックに頼らずにアンプからの抵抗値を下げることによりダンピングファクターを向上させています。話の中では実質2000は数値で行ってるそうです。

肝心の音はA級の滑らかさは残しつつ、反応の良さが感じられ鳴らしにくかったスピーカーもうまく反応している印象で、試聴した803D3やアッコルドも音色の違いは有るものの反応が二つとも良く、特にアッコルドのウーファーの大きさと比例せず豊かな広がる落ち着いた低域はアンプとの相性が良いのが分かります。実際フランコセルブリンでも海外のイベントの際はアキュフェーズで合わせて聴かせているそうです。

”良い音”という定義はそれぞれ違いますが、当店のお客様は前に飛んでくるキレキレの解像度がある音と言うよりは、SPの後ろに広がる空間表現が豊かで音色のやさしい音を好まれる方が比較的多く、その同じベクトルに近づくアキュフェーズの音作りが非常に高い情報量の再生を実現できた中の、音のしなやかさや空気感を表現できる、完成度の高い製品になってきているのが実感でき、当店も満を持してオススメできる商品です。店頭でもDP-750とA-75を展示しておりますので、体感して頂き是非とも手に入れてください。

H30 8/5 菊地

営業 小串氏