202605SPEC試聴会

【イベントレポート】

「元パイオニアではない野本氏の視点から紐解く、その深遠なる魅力」

 

今回のイベントは、特徴的な商品群とデザインで注目を集める「スペック株式会社(SPEC)」です。

かつてビジネスドキュメンタリー番組

「ガイアの夜明け」

でも紹介され、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

パイオニアを早期退職された技術者の方々が立ち上げた、

いわゆる“オヤジベンチャー”の雄として、独自の輝きを放ち続けているブランドです。

 

ですが実際、今回イベントの告知をしてみるとその特徴的なデザインから

「どこの国のメーカーだっけ?」

と質問されることが多く、あらためて日本人の感性で作られているオーディオメーカー

という事を訴求するいい機会になったのではないかと思っております。

「元パイオニアの技術者集団」

とご案内いたしましたが、今回の試聴会で講師を務めてくださった野本さんは、

実は同社において極めてユニークな、

唯一の「元パイオニアではない」

という経歴をお持ちのメンバーとのこと。

異なるバックグラウンドを持つ野本さんというフィルターを通すことで、

内側にいるだけでは見えにくい「スペックの真の魅力」が

どのように語られるのか、おがわも一参加者としてワクワクしながらそのお話に耳を傾けておりました。

 

野本さんのお話の中で特に印象的だったのが、

外からの視点を持っていたからこそ深く共感したという、スペックの「音作りへの執念」です。

同社のアンプは、クラスD(デジタルアンプ)の可能性を極限まで追求していることで

知られていますが、それは単なる効率の良さを求めたものではありません。

「楽器のようなオーディオ」を目指し、シャーシの底面に厳選された木材(ウッドベース)を配するなど、

アナログ的な響きの美しさをデジタル技術と融合させるアプローチ。

これらがどのようにして生まれているのか、

野本さんの言葉からはスペックへの深いリスペクトと愛情がひしひしと伝わってくるように

感じたのです。

「バイオリン」は「バイオリン」らしく、

「オーボエ」は「オーボエ」らしく、

特徴的なフレーズですが、実はこの2つの楽器(特に倍音)を、オーディオで再現するのは

とても難しいらしく、そこにこだわりを持って音作りをされているとの事。

 

確かに弦の震えだけではない木の響きとの調和、弓から伝わる奏者の感情、

独特のダブルリード楽器の響きと管を通り抜ける静かながらも感情的な息遣いなど

解像度だけではない情緒的な音色が魅力と感じるのです。

PWM方式とは?

スペックのアンプについて一番質問が多い

「何故Dクラスアンプなのか?」ということ。

 

じつはこれこそがスペックの真骨頂。

スペックの技術者達が、大きな会社組織では使用することが出来なかった

コンデンサやコイルをはじめとするこだわりの強い部品を使い、Dクラスの

メリットを生かしつつ、オーディオ的なアプローチを極限まで突き詰めた

製品造りをしています。

 

一般的なDクラスの、いわゆる「ネガティブイメージ」を覆す音楽表現を

実現することに成功しているのです。

なによりも、印象的なスプルース材の使用。

飛騨高山の木材屋さんとの提携で品質の良い木材を使用することが可能となっているようです。

 

これらの日本の職人さんたちとの繋がりとともに、その技術力を自分たちの理想の製品の為に

どのように生かし、ブラッシュアップしていくか?

というナラティブは、何度も言って申し訳ないのですが「オヤジベンチャー」でしか

実現しないものだと思い知らされる時間でした。

次に、皆様が気になっていた単体DACと「ディレッタ」って・・・何?

まずはQobuzを普通のノートパソコンで再生し、スペックの単体DAC「RMP-DAC3」へ

接続して聴いた後に、ノートパソコンと単体DACのあいだにディレッタ機器「RMP-UB1」を

接続しただけでどうなるのか?

→空間の広さがより分かるようになり、その中にあるスピード感や実体感が増し、雑味が

無くなったような感覚。「より生々しくなった」という表現になるのでしょうね。

「デジタル臭さ」みたいなものが良い意味で無くなったように感じます。

ディレッタとは、

特にSPECのDAC専用ということは無く、他メーカーのDACと組み合わせて使うことは

もちろん可能との事。

 

簡単にいうと、

デジタル信号の伝送を、従来のパケット伝送方式ではなく、時間と情報量を安定して平均化した

伝送方法とすることによりデジタル再生の安定性をはかり、結果音が良くなる。

ということ。要は「音楽再生においては伝送方法を変えた方が音がいいですよ」ということ。

 

ただしディレッタはWindows、Soundgenic、fidataのみで使用可能。

特にMacやLinuxでは使えないのでご注意下さい。

続いてみんなが気になっていたあの「木の箱」リアルサウンドプロセッサー

 

使用方法は簡単で、空いているスピーカー端子にスピーカーケーブルで接続するだけ。

スピーカーから発生する逆起電流を吸収する機器となります。

仮想アースとは働きが違うので両方を併用することも可能。

(そう、両方を併用する強者が実際にいらっしゃるのです!)

 

音の幕が綺麗に無くなり、澄み切った空間から音が溢れてくるような感覚。

ともすれば音量が上がったようにも感じる音圧を伴い、余裕のある鳴り方が印象的。

 

このリアルサウンドプロセッサーは上位機種もあり、もちろん効き目は抜群なのですが、

特に低域用を接続した際の、腰の据わった安定感のある低域に支えられた広大な

空間が広がる鳴り方には皆様感嘆の声を上げていらっしゃいました。

 

最後にこれらのリアルサウンドプロセッサーを外して効き目をより実感・・・いじわるです(笑)

 

 

「最後におまけですが・・・」

と野本さんが取り出したアナログターンテーブルシート。

そう、実はこのイベントで一番売れて追加注文にもなり、人気商品となったのがこの

ターンテーブルシート(笑)

 

なんと材質はLPレコードと同じラッカー版。

確かにレコードより硬い素材を使えば硬い音になりがち、柔らかい素材を選べば柔らかい音に。

だから同じ素材を使う。

なんとも今までありそうでなかったターンテーブルシート。

 

手軽さ、使いやすさ、音質向上の納得感。皆様の「こんなのが欲しかった!」

というお声と共に、持って帰ってすぐに自分のターンテーブルに使いたい!

と殺到!

 

・・・皆さんさっきまでスペックのアンプの音にうっとりしていたの、忘れてません?

 

という程の盛り上がりの中でのイベントとなりました。(笑)

 

2026/09/27 AUDIO SHOP KEIKI 小川